【季節つぶやき事典】第8回《大暑》
新暦の7月22日から(8月7日まで)入る季節『大暑』についてのお話しをしましょう。
《二十四節気》のひとつ大暑(たいしょ)は夏の節気、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑
の最後の節気となります。
大暑は二十四節気の中で12番目で、1年の折り返し地点となっています。
梅雨が明けて本格的な暑さになる頃で、二十四節気の中でも最も暑い時期とされています。熱中症などの体調不良に最も注意が必要ですね。
台風が多い時期でもあります。年々台風による被害が増えてきていますので、十分な備えが必要ですね。
日の昇っている時間が長く、遅い時間まで明るいので夕涼みなどを楽しめます。
各地でお祭りや花火大会など、夏の行事が目白押しですね。
動物園の白くまに氷の柱をプレゼントというイベントはちょうど大暑の日に行われるそうです。微笑ましい夏ならではのニュースですね。
大暑の《七十二候》は以下です。
初候:桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ) 7月22日~27日頃
次候:土潤蒸暑(つちうるおうてむしあつし) 7月28日~8月1日頃
末候:大雨時行(たいうときどきふる) 8月2日~6日頃
ひとつずつ見ていきましょう。
《桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)》
5月ごろに花を咲かせた桐が実を結び、卵型の固い実をつけ始める時期です。
高級家具の代名詞にもなっている「桐箪笥」。
調湿効果があり四季によって気候が異なる日本では、湿度や虫を寄せ付けず、衣類にとってとても良い収納家具なのです。
500円玉の表側に桐の葉と花が描かれているのをご存知ですか?
昔から、桐は鳳凰が止まる“神聖な木”とされて、「菊の御紋」に次いで高貴な紋章で、時の権力者も天皇家から許されて家紋に用いてきました。
内閣総理大臣の紋章にも桐がデザインされているそうです。
桐は「高級」の代名詞なのですね。
《土潤蒸暑(つちうるおうてむしあつし)》
土もじっとりとして、むわっと熱気がまとわりつく蒸し暑さが最高潮に達する時期です。
暑さを表す言葉をいくつ思いつきますか?
最高気温が35度を超えた暑い日のことを天気予報では猛暑日と表現していて、最近よく耳にしますね。
ちなみに、こんなにありますよ。
極暑…極めて暑いこと。
酷暑…非常に暑いこと。厳しい暑さ
激暑…激しい暑さ。
炎暑…焼けつくような暑さ。
溽暑…蒸し暑いこと。
温気…蒸し暑いこと。
暑熱…夏の暑さ。
旱暑…日照りで暑いこと。
蝉の鳴き声も最盛期になり暑さ真っ盛りの夏らしさを感じさせます。
蝉時雨(せみしぐれ)という言葉もこの時期にぴったりです。
一斉に鳴きたてるにぎやかさを時雨に見立てた夏の季語です。
蝉の鳴き声に冬の季語である「時雨」をあてたというとても美しい季語ですね。
夏の始まりに「にいにいぜみ」、続いて「あぶらぜみ」「みんみんぜみ」「くまぜみ」「ひぐらし」などの大合唱が湧き起こり、まるで時雨が降りつけてきたように大音量で鳴き響きます。夏の終わりには「つくつくぼうし」がしんみりと鳴きひとつの季節の終わりを感じさせてくれます。
《大雨時行(たいうときどきふる)》
むくむくと青空に広がる入道雲が夕立になり、大雨に見舞われることもある時期です。
雨で湿った地面からはまた熱気が立ち上ります。
1日中蒸し暑さで覆われるからこそ、夜明け前のわずかな時間の涼しさに安らぎを覚えるのかもしれませんね。
外に出ただけで汗が噴き出すようなからみつく暑さを払いのけようと、先人たちは「暑気払い」として様々な工夫をほどこしてきました。
冷たい食べ物や飲み物で暑さをしのぐのはもちろん、打ち水や行水で涼を得たりもしました。
風鈴という透き通った「音」で涼しさを感じるという粋な慣習も日本人ならではです。
風鈴のルーツは「風鐸(ふうたく)」という仏堂や塔の軒下に吊り下げる鐘型の鈴と言われています。
風鐸は魔を祓うもので、その音が響くところは清浄となるとされてきたのです。
ですから、風鈴は暑さと同時に災厄を祓うものだったのですね。
《雑節 土用(どよう)》 立春、立夏、立秋、立冬直前の約18日間をいい、次の季節へ移る前の調整期間といったところでしょうか。 主に立秋前の約18日間の夏の土用を指し、この期間を暑中と呼んで暑中見舞いを出す時期でもあります。
夏の土用は、1年の中で最も暑さが厳しいとされる時期にあたるため、江戸時代にはこの期間の丑の日を「土用の丑の日」と重視し、柿の葉などの薬草を入れたお風呂に入ったり(丑湯うしゆ)、お灸をすえたり(土用灸)すると夏バテや病気回復などに効き目があるとされていました。
土曜の丑の日に「ウ」のつく食べ物を食べるとよいとされています。
有名なウナギの他にも、うどん、梅干し、ウリ、牛の肉など。
更に丑の日にきちんとお風呂に浸かって先人たちの習わしから、暑さに負けない力を授かりましょう。
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