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執筆者の写真morinone

【ことごと綴り】秋の土用養生編

秋の香りや音、空気感や夜長を日々楽しんでいらっしゃいますでしょうか。

季節は秋から冬へ移る手前へと巡って参りました。


今回は、五季の中の「秋の土用」の養生についてのことごとを綴っていきたいと思います。

※五季という考え方は、古代中国で始まった「五行説」と深い関わりがあります「五行説」について詳しくはこちらをご覧ください。




土用の期間は身体と心を落ち着かせて自然の巡りに身体を合わせる様にゆったりとなじませていきましょう。


まだ冬には早いのでは?と感じるくらいの頃から暮らしを次の季節へと整えていくと、いざ冬を感じ始めた頃から効果があらわれるのです。




【秋の土用 食養生】


土用の期間は、旬の食材などのピークを迎えてから次の季節へと移り変わっていく頃です。

栄養価の高い自然の恵みに、少し手間をかけて料理をしてみてはいかがでしょう。




先人たちの昔ながらの知恵と手法で、そうした季節のものを身体に入れることから食養生は始まるとも言えます。

そして、気持ちをゆったりとさせて、しっかり味わう時間がまた、身体を潤していきますよ。


「シンプルな和食で、少食を基本」に、贅沢な食事はちょっとだけ我慢して消化器官を休ませていきましょう。

消化に必要なエネルギーを、身体づくりやメンテナンスに費やせるようにしてあげることで養生になります。


また、この時期から空気が乾燥し始めます。

肌荒れや内臓の壁の疾患が起こりやすい時期でもありますので、おひたしや煮物のような水分のある調理法がおすすめです。




「土の季節」は黄土の黄色に象徴されます。

「黄色」くて「甘み」のある食べ物(かぼちゃ、ウコン、さつま芋、栗など)が食薬になります。



〈おすすめの養生食材〉


玄米・あわ・きびなどの全粒穀物類

大根・かぶ・人参・蓮根など甘みのある根菜類

黒豆・小豆・栗・さつま芋・かぼちゃ

銀杏・生姜・自然薯・山葵・唐辛子



以下の料理をぜひ参考にしてみてください。



〈おすすめの料理〉


・さつま芋と黒豆のごはん

・栗おこわ

・小豆粥

・玄米とろろごはん

・けんちん汁

・豚汁

・さつま芋のポタージュ

・根菜の味噌煮

・根菜鍋

・蓮根きんぴら

・筑前煮

・青根と油揚げの煮浸し

・季節の野菜(大根やかぶなど)の漬物 など








【秋の土用 身体養生】


食の養生でもお伝えしましたが、この時期は季節の変わり目であり、空気の乾燥が始まるので、喉からくる風邪や、体調不良を起こしやすくなる時期でもあります。

まずはしっかりと食養生をしてから、次はその栄養が身体の中で上手に働くようリズムを整えましょう。


人の身体や心は自然のリズムに影響を受けているといわれています。

それを無視して、時計にだけ合わせて暮らしてしまうと、生体リズムを狂わせ、さまざまな不調を生み出す原因のひとつになります。


1日の自分の身体が持っている本来のリズムである体内時計に生活を合わせると健康度が高まり、病気もしにくくなるそうです。


では、どのように自然のリズムと身体を合わせていけばいいのでしょうか。


それには、睡眠を整えるところからはじめましょう。


頑張って起きていることはある程度できても、頑張って眠ることはできないといわれています。

眠ろうとする意気込みによって覚醒が高まってしまい、睡眠モードに移行できないためだそうです。


眠りたい時間に身体を睡眠モードにしてスムーズに眠りにつくには、体内リズムを整えるための日々の積み重ねが必要です。


まずは朝起きたら、カーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。



身体はこれを合図にそこから15~16時間後、睡眠を促すメラトニンというホルモンが分泌されやすくなるそうです。

凄い仕組みが身体には備わっているのですね。


次に、1杯の水もしくは白湯を飲みましょう。

身体をしっかりと目覚めさせて1日を始めます。


できるようであれば、15時までに30分以内の昼寝をすると良いそうですよ。

試してみて身体の調子を確認してみるのもいいかもしれませんね。


そして就寝前は、照明を間接照明に替えるなどリラックスできる環境を整えましょう。



メラトニンは睡眠を促しますが、明るい光の下では分泌が停止してしまうのだそうです。

メラトニン分泌を妨げないように消灯をした暗い部屋で休むことも、大事なポイントです。


ちょうどメラトニンが分泌される23時くらいまでには寝るようにしましょう。


もしも、寝つきが悪いときは、下記のリラックス方法をお試しくださいね。



【深呼吸~腹式呼吸~】


深呼吸は身体をリラックスさせてくれます。

仰向けのリラックスの姿勢で、腹式呼吸をしてみましょう。




まずお腹がへこむのを意識しながら口から大きく息を吐きます。


ゆっくりと息を吐ききったら、次に鼻から息を吸います。

この時は、お腹が膨らむのを感じてください。


そして、吸うときの倍くらいの時間をかけて、ゆっくりと息を吐き、これを繰り返します。


頭の中に何かぐるぐると巡るようなことがあれば、吐く息と一緒に吐き出してしまうイメージで行ってみてください。



【ツボを押す~百会~】


頭頂部にある百会(ひゃくえ)と呼ばれるツボは、心を落ち着かせるのに役立ちます。


両手の4本の指先や手のひらを使って、息を吐きながら5秒くらいかけて、気持ちよいと感じる程度にやさしくゆっくりと押してみましょう。

押した後は軽く息を吸います。これを数回繰り返します。




【脱力リラックス~筋弛緩法~


一旦身体に力を入れて筋肉を緊張させてから、脱力して筋肉を緩めることでリラックスする「筋弛緩法」という方法があります。


まずは手のリラックスから。

手をグーに握って力を入れます。その状態を5秒くらいキープした後、脱力します。脱力したときの力が抜ける感覚を味わいましょう。


次に足のリラックス。

足首をぎゅーっと曲げてアキレス腱を伸ばします。

5秒くらいキープした後、脱力します。


脱力感を味わってください。




【それでも眠れない時】


「どうしても眠れない」という時は、気持ちを切り替えてベッドから出てしまって、身体を興奮させないよう穏やかに過ごしましょう。

退屈な本を読むのもおすすめですよ。



寝る前のスマホやタバコ、カフェインには目覚まし作用があるので避けましょう。アルコールには入眠効果がありますが、眠りが浅くなり途中で目が覚めやすくなりますのでご注意くださいね。



上記を参考にリズムを合わせることをできるだけ意識すれば、身体はだんだんとそのリズムが快適になってリラックスし、自律神経のバランスも整っていくでしょう。


ただし、あくまでも基本は基本です。

「こうしなくてはならない!」というように強く規制することのないように、自分が心地の良い程度に整えましょうね。


睡眠時間は10歳までは8~9時間、15歳で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間と、加齢とともに必要な睡眠時間が少なくなるということが報告されているそうです。


加齢によって昔ほど長時間眠れなくなったというお話を聞きますが、実は加齢により必要とする睡眠時間が少なくなっているというのが事実のようですね。


また、高齢者では若い頃にくらべて早寝早起きになり、睡眠も浅くなるそうです。

深いノンレム睡眠が減って浅いノンレム睡眠が増えるため、尿意やちょっとした物音などでも何度も目が覚めてしまうようになるとのことなのです。


個人の睡眠時間は季節によっても変化することが分かっています。

秋から冬にかけて日が短くなるときに睡眠時間は長くなり、春から夏にかけて短くなることからも日照時間と深く関わっていることがうかがえます。

人間の身体が自然の巡りと同調してゆくことは、本来生き物として当然の摂理なのかもしれませんね。


ちなみに、朝が得意か苦手かは生まれつきの体質であるということが明らかになってきているそうですよ。

朝が苦手かどうかについては、その人の気の持ちようや性格によると言われがちですが、性格との関連性は明らかにされていないのだとか。

少し、ホッとした方もいらっしゃるのではないでしょうか。w


睡眠時間は季節や年齢、体質などによって変動するので、「睡眠時間は人それぞれ、日中に眠気で困らなければ十分」と、あまりこだわらなくて良いというのが専門家の見解だそうです。




【ちょっとよりみち綴り~季節を感じるということ~】


ここまで、五季の1つである「土用」の養生についてお話をしてきましたが、その根底に流れる「日本の季節」のお話を改めて少し綴りたいと思います。


日本人は、1年という時間の長さの中で、春夏秋冬の気温や湿気の変化に合わせて身体を調節しているといえます。

そして、ゆっくりとした季節の移り変わりの中で、少しずつ体を変化させ慣らしていきます。


身体の養生では睡眠のリズムを整えるお話をしましたが、もっと根底には四季の変化を感じ取ることが体のリズムを整える基本にあるのです。

気候の変化を身体に受けると同時に心の状態も変わることがあるそうです。


自然のリズムと人間のリズムを調和させること。

これがとても大切なポイントなのですね。

自分の身体や心のリズムを自分で整えることができることこそ、適切に不調の予防もできて、手当も可能になるのです。


それには、日々の暮らしの中でそこに気づくこと、アンテナを張る意識が大切です。


日本は豊かな四季の巡りがあり、むかしから季節に寄り添いながら季節感を大切にして、季節ごとの食材や挨拶、行事を暮らしの中に取り入れてきました。




そこには、四季折々の音、色彩、特別な味や季節を告げる花や草の香りがあります。




花火の音、祭りの賑わい、みこし担ぎといった非日常の身体感覚もあって、まさに五感体験の宝庫です。


季節の移ろいを五感で感じ、その中で日本人の豊かな感性が育まれてきたとも言えるでしょう。


しかし近年では、便利になるにつれて、都会化や核家族化、生活の洋式化などによって、季節感が薄れて、家庭での行事も簡素化されてきているのではないでしょうか。


花や木々などの自然を見て季節の移ろいを感じられる心を受け継いでいけたらいいな、少しでも慌ただしい暮らしの中に自然の巡りを意識できたらいいな、とそんなことを思いながら、この「ことごと綴り」をお届けしています。


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