8月になりましたね。
今月のことごと綴りをお届けします。
“伝統を受け継ぐ”というとなんとなく重たい心持ちになりますが、暮らしの中で人から人へ自然と繋いできたというものも少なくありません。
先人たちの祈りや願いや暮らしの中の工夫、そして楽しみがそこにはあります。
これからの時間の流れの中にも、それらが無理なく続き、人の営みに彩りを添えてくれたらと思います。
8月 【和風月名 葉月】
暦の上では、立秋から立冬の前日までが秋。
もう?! 秋?!と、思いますよね。
実際の気候は痛いくらいの陽射しとまとわりつくような暑さ、蝉たちの大合唱と、夏真っ盛りな時期です。
子供たちは夏休み真っただ中、大人もお盆休みなど、身体を休める期間はとても大切です。
同時に、家族や親戚と一緒に過ごす機会も増えますね。
様々な世代の人びとが集まるお祭りや盆踊り、田舎の暮らしに残る風物詩など、先人たちから時代を越えて受け継がれてきたものを体感できるいい機会なのかもしれません。
ちょっとアンテナを張って、五感で感じてみてはいかがですか?
<8月のならわし>
・6月下旬~8月上旬
暑気払い
・8月8日
立秋(りっしゅう)~二十四節気
・8月13日~8月16日
お盆
・夏まつり
・8月23日
処暑(しょしょ)~二十四節気
・8月下旬~9月下旬 (旧暦の8月1日)
八朔(はっさく)
※それぞれのならわしの詳細はこちらをご覧ください。
<旬の野菜>
南瓜・とうもろこし・冬瓜・生姜
<旬の魚介類>
スズキ・太刀魚・カマス・キス
<旬の果物>
葡萄(小粒系)・マンゴー・パッションフルーツ
<季節の草花>
ハイビスカス・ほおずき・萩・桃・木槿(むくげ)・はちすば・綿花・朝顔・無花果・百日紅(さるすべり)・撫子
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今月の旬の食材
『プルーン』
プルーンは、バラ科サクラ属の落葉高木の果実でスモモの一種。
スモモにはヨーロッパスモモと日本スモモがあり、日本では一般的に、ヨーロッパスモモを西洋スモモの総称=プルーンと呼び、日本スモモを「スモモ」「すもも」「李」と表記して「プラム」とも呼んでいます。
(日本へは西洋スモモではなく中国原産のスモモが奈良時代に伝わったとされています。)
プラムは丸いかたちで、赤く熟れるのが特徴で、主に生食用として栽培されています。
プルーンは紫色味がかった少し長めのかたちが特徴です。
プルーンは生食だけでなく、ドライフルーツやジャム用など加工用としても栽培されています。
「プルーン」や「プラム」はもともと、ギリシャ語の「プロウノン(PROUNONまたはPROUMNON)」という同じ語源だそうですが、ヨーロッパでは生のスモモは「プラム」、干したスモモは「プルーン」と呼ばれることが多いそうです。
ぶどうをグレープ、干しブドウをレーズンと呼ぶのと同じですね。
一方、アメリカでは生食用のスモモを「プラム」と呼び、ドライフルーツ用のスモモは生でも、干しても「プルーン」と呼ぶことが多かったそうですが、最近では、干した実は「ドライプラム」とも呼ばれることが多くなっているとか。
時代や地域によって違う呼び名がついたことから、「スモモ」「プルーン」「プラム」の違いってなに?同じもの?違うもの?と、思われる方が多くいらっしゃるようですね。
スモモには300種以上もの種類があるそうですが、中でも数種類しかないといわれる、赤紫色の実をつけ、種がついたまま乾燥させても発酵せずドライプルーンにできる糖度が非常に高いものが、特に「プルーンプラム」又は「ドメチスカスモモ」と呼ばれる場合もあるそうです。
これまた、ややこしいですね。w
(ここは、ご参考までに)
プルーンの木の高さは5mにも達し、枝ぶりが良く、3〜4月頃には白い花が咲き、木全体が清楚な白色に染まります。
スモモは、あんず、梅、桃、桜などと近い親戚関係にあたるので、プルーンの花は桜の花にそっくりです。
そして受粉したプルーンは緑色の小さな実を結び、8月頃には実が完熟します。
プルーンは早生種から晩生種まで多くの種類があり、7月から10月ごろまで出回っていますが、最も出回る時期は一般的に8月から9月頃にかけての時期とされています。
果実の大きさは赤ちゃんのこぶしほどの大きさ。
果肉が厚いわりに種は小さく、かぐわしい香りがするのもプルーンの特徴です。
世界的にはアメリカ合衆国カリフォルニア州が一大産地です。
雨によリ劣化しやすいため、日本では北海道と長野と青森の地域で栽培されています。
日本で栽培されているプルーンの多くは、生食用として流通されており、日本スモモ(プラム)と同様に皮ごと食べることができます。
爽やかな酸味とマッチした、奥深い甘みが特長です。
季節の保存食
『プルーンのオレンジ白ワインコンポート』
今回ご紹介をする季節の保存食は、旬の食材「プルーン」を使った「プルーンのオレンジ白ワインコンポート」です。
フレッシュなプルーンをオレンジと白ワインで煮た、甘さ控えめのコンポートです。
プルーンの甘酸っぱく濃厚な味わいに、オレンジとシナモンの香りがよく合い、白ワインですっきりとした口当たりに仕上げています。
プルーンの果皮の色でシロップが赤くなり、レモン汁を加えることで鮮やかに発色します。
冷蔵庫で冷やしておくと夏のスイーツにもなり、ビタミンやミネラルの補給もできる、うれしい保存食。
そのままでももちろん、ヨーグルトやアイスと一緒でも、クリームチーズを塗ったバケットにのせても美味しいです。シロップは炭酸水や水で割ってドリンクにするのもおすすめです。
【材料】作りやすい分量
・プルーン(生):500g(10〜15個くらい)
・オレンジ:1/2個
・レモン汁:大さじ1/2
〈A〉白ワイン:80ml
〈A〉きび砂糖:100g
〈A〉水:200ml
〈A〉シナモンスティック:1本
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【つくり方】
①プルーンはよく洗い、ヘタを取ります。包丁で種に沿ってぐるりと縦に切り込みを入れ、半分にして種を取り除きます。
オレンジは、5mm厚さのスライスにして、半分にカットします。
②鍋に〈A〉の材料を入れて中火にかけ、沸騰したら弱火にして、プルーンとオレンジを加えます。クッキングシートで落とし蓋をして5分程煮ます。
プルーンがやわらかくなったら、レモン汁を加えて火を止め、そのまま冷まします。
〈↑煮る前〉
〈↑煮た後:プルーンの果皮でシロップが赤く色付きます。〉
〈↑レモン汁を加えることで、より鮮やかな色になります。〉
③清潔な保存容器に煮汁ごと入れ、冷蔵庫で冷やし保存します。
できあがり♪
そのままでも、ヨーグルトと一緒にグラノーラにのせても、クリームチーズを塗ったパンにのせても、コンポートのシロップを炭酸や水で割ってドリンクにしても美味しくいただけます。
〈メモ〉
*白ワインを赤ワインに代えても。白ワインを使わずお水280~300mlで煮るとお子さんも食べられます。
〈食べ頃・保存〉
冷蔵庫で1〜2時間冷やしたら食べられます。
冷蔵庫で約2週間が保存の目安です。
〈アレンジメニュー〉
・ヨーグルト、アイス、グラノーラ、フレンチトーストなどにのせる。
・チーズとの相性がよいので、クリームチーズを塗ったバケットにのせる、クリームチーズとハムと一緒にのサンドイッチにする、チーズとナッツ、生ハムなどと一緒におつまみにする。
・シロップは、炭酸水や水で割ってドリンクに。紅茶に入れても美味しい。また、甘酒や豆乳、甘酒と合わせてスムージーにするのもおすすめ。
・りんご、杏、桃、いちじく、ドライフルーツなどと一緒にコンポートにしても。
・プルーンをくずして煮詰めてジャムやフルーツソースにする。
・ペースト状にしたものを甘酒と合わせて冷凍し、プルーン甘酒アイスに。
・肉、魚と一緒に煮込むと、プルーンのポリフェノールで肉や魚が柔らかくなり風味豊かに仕上がります。
・調味料と合わせて煮詰めてプルーンソースにし、ソテーした魚や肉、ローストビーフなどにかける。
・さつまいも、かぼちゃの煮物に加える。
・ラペやマリネ、サラダに加える。
・細かくしてシロップと一緒にドレッシングに加える。
・カレーの隠し味に。
・焼き菓子、プリン、蒸しケーキ、パンなどお菓子やパンにも活用できます。オレンジと白ワインと煮たプルーンはチョコレートの相性も抜群です。
季節の保存食『プルーンのオレンジ白ワインコンポート』
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