【季節のレシピ】
季節の恵みである旬の食材でつくる保存食や発酵食と日々のごはん。
自家製調味料や時々おやつも。
季節を感じて愉しみながらつくってみませんか。
ここでは、そんなすこやかなくらしをお手伝いするレシピをご紹介していきます。
※二十四節気「白露」についてはこちら。
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〈旬の食材「落花生」〉
落花生(らっかせい)とは南米が原産とされるマメ科ラッカセイ属の一年草です。
東アジアを経由して、江戸時代に日本に持ち込まれたと言われています。
南京豆(ナンキンマメ)とも呼ばれてきましたが殻の中に実が入っており、日本ではサヤのままのものを「落花生」や「南京豆」と呼び、この中の実だけのものをピーナッツと呼ぶ傾向にあります。
ナッツに分類されることが多いので、木になる果実のイメージがあるかもしれませんが、落花生は地中に出来ます。
普通の豆は花の付け根が膨らんできますが、落花生は子房柄と呼ばれる一本の蔓が花托の脇から伸びて地面にもぐっていきます。その先が膨らんで殻付きの実を実らせます。
その様子から「落花生(花が地面に落ちるようにして実を付ける)」と名付けられたようです。
落花生は、炒ってあったり、茹でてあったり、乾燥してたりするので旬が何時なのかわかりにくい食材のひとつですよね。
品種にもよりますが10月中旬~11月下旬にかけてが落花生の旬と言われてます。 落花生にも新豆があり旬の時期に収穫された新豆は香りが抜群にいいです。
落花生の品種によっても新豆の時期は異なり収穫後、乾燥させる必要がない品種で有名な「郷の香」「おおまさり」などは9月初旬頃から市場に出回ります。
現在、国内の落花生流通量は、全体の9割が外国産で、国内産は約1割程度になってます。 国内産の約8割が千葉県で生産されています。
落花生にはオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸が豊富に含まれいます。
この不飽和脂肪酸にはコレステロールを抑制する作用があり、肥満防止に役立つとされています。
ですが、落花生は非常にカロリーが高く、100gあたり生の未熟豆でも295kcal、乾燥させたものだと562kcalも含まれています。
くれぐれも食べすぎには注意しましょう。
何ごともほどほどということですね。
抗酸化力が強く若返りのビタミンといわれているビタミンEが非常に沢山含まれています。
これには活性酸素を抑え体内の不飽和脂肪酸の酸化を防ぐ働きがあるので、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病の予防に役立っていると考えられています。 ビタミンEはこのほかにも、血管を酸化から守り、血行を良くする働きもあると言われています。
落花生はナイアシンの含有量が野菜の中ではトップクラスです。
このナイアシンはアルコールの分解に対する補酵素の働きをはじめ、分解後に生じるアセトアルデヒトという二日酔いを起こす成分の分解を助ける補酵素の働きもあります。
お酒のアテにいただくことは理にかなっているということですね。
他にも、カリウムやマグネシウム、リン、鉄など身体にとって欠かせないミネラルをバランスよく豊富に含んでいて、タンパク質や食物繊維も豊富です。
落花生は品種によって向いた食べ方が違います。煎ったほう美味しい「千葉半立」や「ナカテユタカ」に対し、「さとのか」や「おおまさり」などは茹でたほうが美味しい品種なので、用途に合わせて選びましょう。
また、生や茹でたものよりも、煎った方が成分は凝縮されて、栄養価が高まるともいわれています。特にナイアシンや食物繊維は倍増するとか。
落花生の見極めは正直素人目にはなかなか難しいそうです。
なぜなら、一般的な果実のように、実が十分に膨らんでたっぷり詰まっている方が美味しいわけではないのだそうです。
落花生には収穫適期というものがあり、それを過ぎて更に実が充実してしまったものはかえって風味が落ち、美味しくなくなるとか。
実は丸く太りすぎたものではなく、やや細長いピーナッツの形をしたものが美味しいそうです。
落花生には脂肪分が多く含まれており、酸化しやすく、一旦酸化してしまった物は美味しく食べられなくなってしまいます。
保存するときは密封容器などに入れ、冷蔵庫に入れて、なるべく早く食べるようにしましょう。
また、サヤから取り出して密封容器に入れてもいいでしょう。
落花生を冷凍する場合はサヤごと塩茹でにし、サヤごと、または剥き実にして小分けし冷凍しておきます。
解凍は自然解凍か、電子レンジにかけます。
落花生は生では食べられないので、サヤ付きのまま炒るか茹でるかですが生の落花生を茹でる場合はサヤごと茹でて下さい。
大きめの鍋に多めの水を張り、水に対して3%ほどの塩を加えて沸騰させます。
沸騰しているところにサヤごとの落花生を投入し、落花生の大きさにもよりますが40分~50分程茹でます。
30分過ぎた辺りから時々1つ取り出して硬さを見ながら茹で時間を加減していけば、失敗を防ぐことができます。 茹で上がったらザルに上げ、そのまま冷まします。
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今回ご紹介する、ノブさんおすすめの【秋-寒露のレシピ】は、
旬の食材「生落花生」を使った保存食『ピーナツバター』です。
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生落花生でつくるピーナツバター
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ピーナツバターは、乾燥したピーナツを炒ってからペースト状にするのが一般的ですが、生の落花生でつくるピーナツバターは、より香り高く、落花生の風味を存分に味わうことができます。
パンに塗るだけでなく、練りゴマのような感覚で料理やお菓子などにも使うことができ、コクと香ばしさをプラスしてくれます。
手づくりすると、甘さやピーナツの粒感をご自分のお好みに調整できるのもいいですね。
また、薄皮を残してつくるので味に深みが増し、薄皮の老化防止成分(レスペラトロール)も取り入れることができます。
生の落花生が出回るこの季節限定の手しごとです。
《材料》できあがり量 約350ml
・生落花生…450g
(→殻を外した薄皮つき落花生…約300g)
・きび糖…大さじ3
・無塩バター…大さじ1〜2
・塩…ひとつまみ
《作り方》
●生落花生を茹でる。
①殻付きの生落花生は手でこすりながら洗い、汚れを落とします。鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩(お湯に対して約3%・分量外)と生落花生を入れ、浮いてくるので落とし蓋をします。
②中火で40分ほど茹で、一つ殻を割って食べてみて、やわらかくなったら火から下ろしてザルにあげ水気をきります。
③粗熱が取れたら、殻を割って中身を取り出します。薄皮はつけたままにします。
●ピーナツバターをつくる。
④薄皮付き落花生、きび糖、バター、塩をプードプロセッサーに入れます。
ペースト状になるまでよく攪拌します。
*落花生(ピーナツ)は60%ほどが油分なので、プードプロセッサーにかけると、しっとりしペースト状になります。ボソボソしているようなら、バターを少しずつ加えて調整してください。
*粒感を残したい場合は、攪拌する時間を短くするか、プードプロセッサーにかける前に適量の落花生を取り分けて刻んでおき、ペースト状になったピーナツバターに混ぜます。
〈メモ〉
◎今回は、コクがありピーナツとの相性がよいきび糖を使いましたが、他の砂糖やメープルシロップ、はちみつなどお好みのものを使ってください。甘みを全く加えないピーナツバターにしてもよいです。
◎滑らかにしたい場合は、バターや香りの少ない油などを少しずつ加えて調整してください。
◎炒った落花生でもつくれます。より香ばしくなり、やや固めの仕上がりになります。
生落花生の殻から中身を取り出し、薄皮をつけたままフライパンに入れ、弱火で炒ります。
木ベラなどで混ぜながら15〜20分加熱し、表面に薄く焦げ目がついたら火からおろし、バットなどに広げて冷まします。④のピーナツバターを作るところからは同じです。
〈保存〉
冷蔵庫で約1ヶ月が保存の目安です。砂糖を入れなかったり少なくした場合は、なるべく早く使うことをおすすめします。
〈アレンジ〉
*パンにつけるのが定番。きなこやバナナなどと組み合わせるのも美味しいです。
*お菓子作りに。クッキーやケーキなど、バターの代わりに加えると、ピーナツの香りとコクがプラスされます。
*調味料として。肉や魚に塗って焼いたり、炒め物や和物に加える。醤油や味噌との相性もよく、豆板醤やラー油を加えるとエスニック風になります。坦々麺やスープ、パスタにも。
*ソースやドレッシングに。春巻きや棒棒鶏のタレにもおすすめです。
【ピーナツバターのアレンジメニュー①】
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エスニック風ピーナツ味噌ソース
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《材料》できあがり量 約100ml
・ピーナツバター…大さじ2
・味噌…大さじ1
・ナンプラー(または醤油)…大さじ1
・酢…大さじ1
・はちみつ(または砂糖)…大さじ1
・おろしにんにく…小さじ1/2
・ローストピーナツ(トッピング用)…適量
《作り方》
①ボウルにローストピーナツ以外の材料を入れてよく混ぜ合わせます。
②ローストピーナツを粗く砕いてトッピングします。
*生春巻き・蒸したり茹でたりした鶏肉、豚肉、野菜・野菜スティックなどにつけて食べます。
【ピーナツバターのアレンジメニュー②】
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ピーナツ豆腐
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《材料》作りやすい分量
・ピーナツバター…50g
・豆乳…250ml
〈A〉水…250ml
〈A〉くず粉…50g(細かく潰しておく)
〈A〉塩…少々
だし醤油
〈B〉かつお出汁…80ml
〈B〉醤油…大さじ1
〈B〉みりん…大さじ1
〈B〉酒…小さじ1
〈B〉砂糖…小さじ1
・わさび(トッピング用)…適量
《作り方》
①ボウルにピーナツバターを入れ、豆乳を少しずつ加えながら溶きのばします。
②〈A〉を加えて混ぜ、ザルで濾して鍋に入れます。
③鍋を弱めの中火にかけ、木ベラなどで混ぜながら、とろみが出てもったりするまで20分ほど煮ます。
④水に潜らせた容器(10×10×高さ5cmくらいのサイズ)に流し入れ、粗熱がとれたらラップやフタをして冷蔵庫で冷やし固めます。
⑤だし醤油をつくります。〈B〉を鍋に入れて沸騰させ、弱めの中火で5分ほど煮詰めます。粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やします。
⑥冷やし固めたピーナツ豆腐を容器から取り出し、水でぬらした包丁で好みの大きさに切り分けて器に盛ります。⑤のだし醤油をかけ、わさびを添えます。
*ピーナツ豆腐は、水の量を多くするとやわらかく、少なくするともっちりした食感になります。
【ピーナツバターのアレンジメニュー③】
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ピーナツのスノーボール
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《材料》約15個分
・ピーナツバター…40g
・薄力粉…120ml
・無塩バター…50g
・砂糖…30g
・ピーナツ…30g
・粉砂糖…適量
《作り方》
①ピーナツをポリ袋に入れてめん棒などでたたいて細かく砕いておきます。
②耐熱容器にピーナツバター、無塩バター、砂糖を入れてラップをし、500Wの電子レンジで1分加熱し、①を加えて混ぜ合わせます。
③②に薄力粉をふるい入れて、さっくりと混ぜ合わせます。15等分に分けて丸く成形し、オーブンシートを敷いた天板に並べます。
④170℃に予熱したオーブンで、15分焼きます。
⑤完全に冷めたら、粉砂糖をふるって完成です。
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